第 174回
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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


節分天井は生きている?
「国際商品中心のこの時代でも不思議と『節分天井、彼岸底』は生きている」
 2月3日、節分。行きつけの飲み屋で商品相場の道ざっと40年のTさんが棒上げの新春相場についてこんな感想をもらした。
 金。ニューヨーク先物期近で、目先の底05年12月21日の1トロイオンス492.3ドルから06年2月2日の579.5ドルまでのほぼ一本調子の上昇。
「この短期かつ大幅な上昇はファンダメンタルズから乗離しているのではないか。ジュエリー加工需要はついていけない。退蔵投資部門は売りに回る。回収金だって増えてくる」
 国際商品買いの波に乗れなかった筆者のぼやきへの答えでもある。
 Tさんの予言的中。金は7日、20ドル幅という1日の下落幅としては13年振りの急落を演じた。金ににわかな弱材料が出たわけではない。
 米国石油在庫増加予想、米国のエネルギー情報機関の06年世界石油需要予測の下方修正などが原油急落を呼び、記録的高値を競い合ってきた非鉄金属、貴金属にも利食い急ぎの動きが波及していったのではなかろうか。
 エネルギー関連商品として買い上がられてきた粗糖も急反落した。
 手許に市況用語辞典がないので、節分天井、彼岸底の市況格言の勝手解釈。
「新春への期待を込めた買い人気が前年から新春にかけて盛り上がるが、実勢とのすり合わせで節分のころに人気部分がはげる。安値で値ごろ買いが入り、彼岸のころに底入れとなる」
「新春をあて込んだ需要が盛り上がるが、商売の閑散月(実需も落ちる)、2月入りで需要減が節分のころに実感できる。安値と春の需要期が重なり、彼岸のころには需要増が確かなものとなる」
 小豆相場全盛のころなら、こうした市況格言が生き生きとしていたとしても不思議はない。
 が、06年、金はもちろん国際商品全般が目先節分天井を形成したのはなぜだろうか。節分天井、彼岸底の市況格言の由来とともに読者諸兄姉のご見解をうかがいたい。
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 新春の国際商品高を索引したのは原油の反転高だった。
 まず、産油国をめぐる情勢の緊迫。@ナイジェリアの産油地帯での反政府軍活動による生産、輸出の低下A核活動表明による西側の制裁機運でイラン産原油の供給不安Bベネズエラの対米強硬姿勢が招く、米、ベネズエラの対立--ただでさえ供給余力の乏しい原油に改めて、供給不安が台頭している。
 パレスチナの総選挙での対イスラエル強硬派ハマスの勝利、預言者風刺漫画問題でのイスラム教徒の怒り。中東を中心とする地政学リスクが高まっている。
 原油の反転高を呼んだ状況には基本的になんら変化はない。
 だとしたら、調整安は短期かつ急速な上昇の需給ファンダメンタルズのすり合わせにとどまり、調整幅、期間ともに限られるとみるべきかもしれない。
 ここまで書いたところにファックスが入った。
 青梅で梅を愛でる会の案内。「旅館の都合で3月19日(日)の宿泊としました」
 彼岸の翌日である。
 駅前の老舗旅館が青梅会の定宿。土曜泊り、日曜観梅は埋まっているらしい。05年もそうだった。景気回復は旅館の予約からみる限り、確かなようだ。彼岸底は浅かるべし。
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 米エネルギー省の開発テーマにエタノール燃料が組み込まれた。
「木材、古紙など植物繊維を原料とするエタノール燃料を2012年までに実用化」
 化石燃料の高騰持続を前提にした手だてといえよう。
 英紙ファイナンシャル・タイムス(2月8日付)に「投資家、石油急落でもはっきりとした方向性がつかめない」というグローバルな各市場の動きの記事の見出しの横に「バイオ燃料価格の新指数登場」と題する記事が出ている。
「指数はUBSとスイスの商品に重点を置くファンドを運用するグループ、ダイアパソンが開発した。エタノール、バイオディーゼルなどの原料になる砂糖、トウモロコシ、小麦、コメ、菜種などで構成する」
 指数は砂糖はニューヨーク、トウモロコシ、小麦、コメはシカゴなどの先物市場価格に基づいて算出されるようだ。
 バイオ燃料ファンド登場をにらんでの指数開発なのだろうか。指数自体が上場されてもおもしろそうだ。その場合天候と石油両にらみの展開となり投機妙味は大きくなる。
 それにしても先物市場の発信する相場の利用価値は広がるばかりだ。

     (週刊 先物ジャーナル 第829号 掲載)