第 171回
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米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


ライブドア騒動に考える
「ライブドア、家宅捜査」
 16日、6時過ぎ、第一報は飲み屋のご主人Tさんから聞いた。
 相場師たちの足跡を探索して止まぬTさんが、かつての大相場師のおまごさんであるYさんからおじいさんの話を聞こうと設けた席上だった。
 Yさんはまごとはいえ古稀をとうに過ぎておられる。テレビの経済番組プロデューサーをつとめたあと、占星術の道に進まれた方でもある。
 ぽんぽん飛び出す数字、そしてユニークな解釈。相場師の血筋はこんなところに流れているのか、と感じ入る。
「じいさんには可愛がられて、高名な相場師、経営者、文豪に至るまで幼い日の記憶は消えないが、私自身は証券マン(相場の道)を選ばなかった。額に汗してかせいだカネでなく、相場のカネで不自由なく育った一種の罪悪感があったゆえだ」
 その後のライブドアたたきを予見することばであろう。
「ホリエモン」は2月に逮捕されて「ムイチモン」になる!(週刊新潮、1月26日号の記事の見出し)
 ホリエモン「想定外」逮捕│驕る"ヒルズ成金"に大鉄槌!(週刊文春、1月26日号の記事の見出し)
 見出しで売る面がある週刊誌以外、新聞、テレビのはしゃぎぶりは何だろう。たまたま16日に古稀を迎えた筆者とてなにが若造が、という思いがあるのは否定しないが、既成秩序に風穴をあけつつあったその行動様式には内心賛辞をおくっていた。
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、1月18日付)「日本の保守派、報復を味わう」と題する社説を載せている。
「堀江貴文氏のやり方を全面的に認めるわけではないが│」としながら、堀江氏は日本経済に三点で寄与していると論じている。
 @進取の精神や新たなチエが偏狭な官僚主義とがちがちの大勢順応主義の企業風土に風穴をあけた。
 A金融市場のルールを試しながらの取引は日本の排他的な金融市場を透明かつ公正な方向へ向けて改善させる推進役を果たしてきた。
 B堀江氏の積極的な試みは活気を欠く経営手法にメスを入れ、改革・改善への挑戦意欲をかき立てた。
「日本は積極的に型をこわしていく"堀江氏"がもっともっと必要である」と結んでいる。
「老人と話するほど無駄なことはない」
 正確ではないかもしれないが、こんな堀江語録を見たことがある。
 老人大国日本。「チエとカネとヒマが十二分の老人」軽視はいかがなものか、利用すればいいとも考えるが、FT社説が論じる堀江効果も無視してはなるまい。
 日本の商品先物業界に
"ホリエモン"(FTの@〜Bに合致する)は出てくるのだろうか。
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「06年、高止まる原油が広範な国際商品を下支え、押し上げる方向に働く」(本欄1月1日号)と指摘したが、原油の供給不安が台頭、原油発の強気が国際商品市場に広がっている。
 FT(1月18日、19日付)商品欄の「さらなる軍事行動が石油相場を押し上げる」という見出しの市況解説記事は原油高に触発された商品高を如実に語っている。
「世界第8位の産出国ナイジェリアの油田地帯での軍事行動に加え、イランの核プログラム再スタートへの西側の制裁発動予想とイラン原油の途絶懸念が引き続き原油を高値に張り付けている」(19日付)
「ナイジェリアの石油製品供給不安で砂糖がエタノール需要の増加見通しで買い進まれている。ブラジルの収穫低下見通しも強材料」(19日付)
「プラチナは投機の買い建てが増えている。米国の自動車メーカーが燃費効率のいいディーゼル車のシェアが増えようとコメントし、プラチナ使用量の多いディーゼル車の増産が強材料に働くという見方が増えている」(18日付)
 金はどうか。
「地政学的緊張の高まりと日米の株価低落が安全資産としての金への買い人気を高めている。アジアのディーラーは日本の投資家の買いに加え、中東のペトロダラー(石油収入で得たドル)の金市場への還流を指摘している」(18日付)
「日本の3日連続株安がTOCOM(東京工業品取引所)金の売りをうながした。ディーラーによると、日本の個人投資家が株下落に伴なう追加証拠金に充てるため、金を売却している」(19日付)
 国際金相場をも左右するライブドア騒動。ホリエモンおそるべし、だ。
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 英誌エコノミスト誌(1月14日号)に恒例のビッグ・マック指数が載っている(レートは1月9日現在)。
 購買力平価説をベースにした簡便なビッグ・マック指数(商品とサービスを束ねたコストの線に為替レートは収れんする)の表の一部を抜き出してみたが、欧州通貨が対ドルで過大評価、資源国通貨が割安という区分けができる。商品の時代を映しているということだろうか。アジア通貨、特に中国はビッグ・マックでみると59%の過小評価。
 ビッグ・マック指数でみる限り、為替も波乱含み。
 日本の商品先物は商品自体と為替の両面からの波乱要素を抱える。
 ヘッジニーズ、投機妙味ともに高い。

     (週刊 先物ジャーナル 第826号 掲載)