第 170回
169回 171回
米良 周            
1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)がある


崩れぬ金の買い人気

 調整安は2週に足らず、年明け早々金が高値に向けて再出発の形である。
 ニューヨーク先物期近は9日、1トロイオンス549・1ドルと1981年1月以
来の高値を記録した。金になにが生じたのか。
「金、25年振り高値」という見出しの記事を読んでみる(英紙ファイナンシャル・
タイムス=FT、1月10日付マーケット面) 「中央銀行の準備資産分散化の話、地政学的緊張、06年はドル安トレンドとなるのではないかという予想、などが重なり合った」
 FTが指摘する強材料のひとつ、準備資産の見直しとは中国の外貨管理部門の「資
産構成の最適化に向けて見直すというコメント。中国が金準備を増やすのではない
か、という見方を呼んだ。
 が、中国の準備資産見直しのニュースはFTでは6日付の1面トップで報じられて
おり”知ったらしまい“の類い。
 ドル安への反応高。05年末にかけては、ドル建て金のドル離れが説かれていたでは
ないか。
 地政学的緊張はどうか。イスラエルのシャロン首相の緊張入院は4日。9日の新た
な材料はイランの核プログラム再スタート声明にとどまる。
 ニューヨーク先物金の建玉明細で大口投機家の買い建玉は過去5カ月で3倍に膨ら
み、高値でもなかなか利食いで減ることがない。
 崩れない金人気は英誌エコノミスト(05年12月24日号)の投稿にその答えがありそ
うだ。投稿は同誌の金は野暮な時代の遺物と題する記事(12月3日号)に対する意見。
「金は”基本的に魅力に欠ける“かもしれない。だが少なくとも金は限りあるコモ
ディティだ。政治家の約束と中央銀行マンの慢りよりほか支えのない法定不換紙幣に
も同じことがいえるなら…」
 通貨へのばくたる不安―金の強基調の根底にある心理ではあるまいか。投稿者はロ
ンドン在住のシニア・インベストメント・ストラテジスト。
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 7日、マザー牧場をぶらぶら。パンフレットにどこから遊ぼう、どこまで遊ぼう、
エンターテイメントファームとある。親子連れで子どもがわいわいと思いきや、ジイ
さん、バアさんが多数派。目分量で大人7の小人3.小さな子がかけてくる。追いか
ける大人の男性4人。ジイさん、父さん、父さんの兄たちといった年齢構成である。
 10日、英誌エコノミスト誌購入(1月7日号)。
 アジアをフォローするページのトップは「下降―老いる日本」という題名の記事。
 最新の5年に一度の国勢調査で05年10月1日現在、調査開始以来、はじめて人口が
減少を記録、このままでは2800年までに日本人はいなくなる、という話を紹介し
ている。
 しぼむというタイトルの3つのグラフ。ピラミッド→ちょうちん→細いつぼ。20
50年には女性の最大人口は80歳近辺となることが読み取れる。
 このグラフをYさん(相場研究家)に見せたら「トレンドは必ず変わるもの」との
判断、Xさん(居酒屋の30代女主人)は「お代を上げて儲けておかなければ」とのた
まった(代金はいつもと同じだった)。
 マザー牧場はいつの日か、老人の楽園地になるのだろうか。
 エコノミスト誌は同じ号の社説でも人口減少問題をとりあげている。 「人類は高い出産率と高い死亡率のわなにはまっていた。いまや低い出産率と低い死亡率という世界にいる。豊かな国では1960年に比べ10歳も長命になったことは喜ばしいことだ。政治家は国力の低下を懸念するかもしれない。だが、人々は新たな人口動態を黄金の時代を告げるものととらえるべきだ」
 社説の結語である。
 同感である。
 ゆったりと落ち着いた社会。ゆったりと落ち着いた相場作法がふさわしい。 


     (週刊 先物ジャーナル 第825号 掲載)